住宅ローンの返済期間は、通常35年が最長であることは皆さんご存知のことと思います。
では実際のところ、住宅ローンを組まれる皆さんは何年位の返済期間を選択されているのでしょうか。その割合を示したのが下の表です。
<当初選択された返済期間の割合>
返済期間 20年以下 20~25年 25年~30年 30年~35年 平均
2015年 21.30% 24.30% 44.80% 7.60% 25.4年
2018年 15.50% 20.90% 39.70% 23.80% 26.7年
<実際に完済までに要した期間の割合>
完済期間 10年以内 10~15年 15~20年 20~25年 25~30年 30~35年 平均
2015年 37.30% 33.30% 13.30% 10.70% 4.70% 0.70% 14.4年
2018年 22.20% 41.40% 13.60% 16.00% 5.60% 1.20% 15.7年
(住宅金融支援機構「民間住宅ローンの貸出動向調査2018年」)
このグラフを見た限り、当初選択された返済期間の平均が26.7年に対して実際の完済期間の平均が15.7年(2018年)ということで、繰り上げ返済に励んで少しでも返済期間を短くしようとされている皆さんの努力の跡が読み取れるのですが、その一方で、近年、当初選択された返済期間・実際の完済期間ともに以前に比べ長期化していることは聊か気になるところです。特に当初の設定返済期間30~35年の層が、ここ数年で7.6%から23.8%にまで急増していることは驚きです。その理由としては、返済期間初期の家計への負担が大きいため、返済期間を長期で設定してとりあえずの返済額を低く抑えようとしている人が増えているからなのではないかと推測されます。実際、同じ支援機構の「フラット35利用者調査」によれば、住宅ローンを組む年齢は30~40代が全体の67.8%(2018年度)と最多です。この年代は教育費・食費などの諸経費が人生で最もかかる世代であり、この世代にとって、ローン返済が以前に比べて家計の負担になってきているということは十分考えられます。確かに同じ金額のローンを組むのであれば、返済期間を長くするほど毎年の返済額は少なくて済みますので、とりあえずは返済額を低く抑え、可能な限り繰り上げ返済を行って返済を前倒ししようという戦略は理にかなっているのですが、上の数字からはその戦略も、近年思うようには実行し難くなってきている状況が読み取れるように思います。
勿論、返済期間の選択に際して、ローン開始時の年齢その他、考慮されるべき条件は人それぞれですが、家計の体力に照らして無理のない範囲に借入金額と返済期間とを納めることは重要です。「35年返済であればなんとかなるだろう」と考えることは最も危険と云えます。
*コロナ騒ぎが収まった後の日本の経済には、大きな変動が予想されます。特にこれから住宅ローンを利用してマイホームの購入をご検討されている皆さんには、より慎重な資金計画の策定が求められます。具体的な対策については、売り手側の論理に縛られない、中立的な立場のファイナンシャルプランナーや住宅コンサルタントに一度ご相談されることをお勧めいたします。