いよいよ、10月から消費税が増税となります。
巷では、増税前に何を買うべきか、慌てて買わなくてもよいか、の話題でもちきりです。
こと住宅購入に関しては、景気対策の意味合いもあって、早い段階から増税になった場合の支援策が打ち出されていたため、無理な駆け込み需要はあまり起きなかったようです。8%で購入するよりもむしろ増税後に支援策の適用を受けたほうがメリットが大きいのではないかと考えて、計画を先延ばししていた方もあるのではないでしょうか。
さてその支援策ですが、改めて整理すると以下の4点となります。
1)住宅ローン減税の控除期間の3年延長
2)住まい給付金の対象者拡充と給付額の増額
3)住宅取得資金贈与の場合の非課税枠の引き上げ
4)次世代住宅ポイント制度の新設
ところで、これらの支援策はそれぞれに利用できる期限が定められており、国交省の作成したチラシや、各住宅展示場の案内などにも4大支援策の利用期限の条件が記されています。
何気にこれらの案内を見ている限りでは見過ごしてしまいそうな支援策の期限の条件なのですが、しかし筆者には、4)の次世代住宅ポイント制度については見過ごせない、大きな疑問があります。
国交省の簡易版の支援策の案内では「2020年3月末までに契約の締結等をした方」とあり、国交省次世代住宅ポイント事務局の制度概要説明においては、対象となる住宅(契約等の期間)として、注文住宅(持ち家)・リフォームに関しては「2019.4~2020.3に請負契約・着工をしたもの」となっています。他の様々な住宅関連先で配布されている支援策の案内においても、ほとんどすべてがこの国交省の案内文の表現を踏襲しています。問題は「3月末までに契約の締結等をした」の「等」の表現と「~2020.3までに請負契約・着工をしたもの」の「請負契約・着工」という表現です。実は次世代住宅ポイント制度が利用できる条件は、注文住宅の場合は、平たく言ってしまえば「2020年3月末までに請負契約をしているだけではだめで、着工していることが条件」、なのですが、この国交省の文面から、普通にそのように解釈できる人が、果たしてどの位いるでしょうか。国交省に念のため確認したところ、「契約の締結等」の「等」には、契約の締結と着工の両方の意味を含んでいる、との回答でした。また推測するに「請負契約・着工」は「契約または着工」ではなく「契約かつ着工」なのだという解釈のようです。
しかし常識的に考えて、このような表現では、「2020.3までに請負契約を締結していればよい」と取る人があっても責められないのではないでしょうか。
注文住宅においては、請負契約を締結する前から着工してしまうようなことはあり得ませんから、簡潔な表現が求められるならまだ「~2020.3までに着工していること」が誤解を生まない表現だと思うのです。
さて、この制度の正しい適用期限は以上の通りなのですが、そうだとすると、この制度が利用できるのは、2020年3月末までに着工まで進んだ案件に限られる、ということになります。つまりは、無理のないスケジュールでその後の計画を進めるためにも請負契約の締結は年明け早々くらいまでがリミット、ということになります。増税支援策を当て込んでこれから計画をスタートしようと考えている方にとっては、少なくても「次世代住宅ポイント制度」を利用するための時間は残り4か月程度しかない、ということです。
ここから先は筆者の個人的感想ですが、この制度は対象の条件が細かくわかりづらい印象を持ちました。ポイントを建築費用に充当できないことなども扱いにくい一因かもしれません。予算枠が無くなり次第終了とのことですが、7月末時点での申請数はわずか6千件にとどまっています。