建売住宅が売れています。コロナの感染拡大に伴うテレワークの拡大で、より広いスペースや、仕事用にプライベートな空間を確保したいという希望から、マイホームの購入意欲が特に戸建て住宅に向かっており、なかでも購入の際の手軽さから、建売住宅の人気は相当なもののようです。事務所に向かう途中の住宅地でも、何件もの建売住宅の建築現場を見かけます。
そのなかで、最近テレビでもよく目にする大手建売業者の現場に、目が留まりました。丁度土台が据えられたタイミングで、土台の材質や施工具合が手に取るようにわかる状態です。(写真をお見せできないのが残念ですが)使われていた木材は米栂の辺材(いわゆる白太)で、一部角が割れて剥がれかかっていました。土台は家全体を支える部分であり、腐蝕耐性や防蟻性が特に求められますが、檜などの部材を使うのは無理にしても、米栂ならせめて心材(赤身)を使えないものかな、とついつい思ってしまいました。コストの差は、高めに見積もっても1本あたりせいぜい数百円。30本使ったとしても2~3万円の差に過ぎません。大量販売の業者というのは残念を通り越してそこまでコスト意識が強いのかと半ば感心してしまった次第です。
この手の材料を土台に使う場合は、腐食やシロアリを防ぐための薬剤注入は義務付けられていますので当たり前ですが、通常5年に一度の防腐防蟻処理のやり直しは必要です。通気にパッキンを使っていたとしても、何もしないでいいということにはなりません。最近建売を購入された方は、購入の時.業者から5年保証だがまあ大丈夫ですよ、と云われた、とおっしゃっていました。コストを抑えるために耐久性において劣る部材を使用しているのであれば、なおさら余計に定期的なメンテナンスの必要性は高いのですが、残念ながら、建売住宅で定期的なメンテナンスを行っている現場に出くわしたことは殆どありません。(仮に長期優良認定住宅であっても、定期点検を受けないと認定が取り消されることになっています。)
格安な建物ほど、長持ちさせるためには本来メンテナンス費用は嵩むものです。みなさんそこまでご理解されたうえで、建売住宅を購入されていると良いのですがー。