無垢の木や珪藻土、和紙などの自然素材を使い、同時に太陽や雨といった自然エ
ネルギーを利用し、資源の循環に配慮をした「サステイナブル」という考え方を
大切にしながら住宅を設計してきて30年になります。
東京都練馬区に、太陽の熱で温水をつくり、雨水をタンクに貯めてトイレの流し
水に利用する住宅も設計しました。建築主のKさんは以前から環境問題に関心が
あって、住宅の建てかえにあたり、できるだけリサイクルできる素材や土に還る
素材、太陽や雨を利用した住まいを希望されました。
最近ではKさんのような建築主が増えていて、とても嬉しく思っています。
サステイナブルとは?
サステイナブルという言葉はこれからの社会や暮らしの大切なキーワードになる
重要な言葉なのです。
私達の暮らしているこの地球は過去からの遺産としていまここにあるのではなく、
私達の未来の子孫たちから借りているもの、だから私たちは、この地球という惑
星の環境をできるだけ壊さないで未来の私達の子孫に還さなければならないとい
う「持続する社会」を意味する言葉なのです。
私達はサステイナブルという考え方を共通の認識として持つ必要があります。そ
れはどこかの国とか大きな企業とかだけが考える問題ではなく、レベルの違いこ
そあれ、個人個人の仕事や暮らしの中でこそ考えて行かなければならない問題で
もあるのです。
26年で解体?
住まいに関することでいえば、小はゴミの問題、アルミ缶や古新聞のリサイクル、
生ゴミのコンポスト化から、大は住宅産業を支える南洋材の伐採による森林破壊
の問題まで、考えなければならないことがたくさんあります。
いままで暮らしていた家を壊して新しく家を建てるという場合には大量の産業廃
棄物がでます。その廃棄物は産業廃棄物処分場に運ばれていますが、その処分場
のスペースもなくなりつつあります。日本の住宅の建て替えサイクルは26年とい
う統計がありますが、このような状況の中で、私たちが今つくる家が26年で解体
されるのであれば、私たちは26年後の捨て場のない粗大ゴミを作っているという
ことになってしまいます。
長持ちする住まいとは?
大切な木材資源を使って作る住まいですから、次の代まで使えるようにつくらな
ければなりません。それは、構造的に丈夫という意味だけではなく、住み手が愛
着をもって大切にして、長い間愛していける住まいでなければならないと思いま
す。そして、家族の変化に柔軟に対応できる住まいであること、設備を簡単に更
新できるような配慮、太陽や雨、風といった自然のエネルギーの有効利用、土に
還る自然素材をできるだけ使うことを大切にしたいと考えています。
子孫たちに、安心して暮らせる地球環境を残してあげるためのサステイナブルな
住まい。個人の小さな力であっても、ほんのすこし地球を健康にすることはでき
るのです。