コロナ禍とロシアによるウクライナへの侵攻という、世界を揺るがす大きな出来事を契機に、今まで身動きすらしなかった物価がジリジリと上がり始めています。そんな折も折、手元に届いた「固定資産税・都市計画税納税通知書」をみて、今年の固定資産税額が値上がりしていることにびっくりされたご家庭も多いのではないでしょうか。

住宅の固定資産税額は3年に一度見直し(評価替え)となります。実際には、土地の評価替えにおいては、地価公示価格や不動産鑑定士の鑑定評価などに基づいて評価額(明細書で「価格」と表記された部分、時価の7割程度)を決め、建物の評価額は、評価の時点で新築するとしたときの建築費(再建築価格、実際の価格の5~7割程度)に、経年劣化の減点補正等をして決めます。

直近では昨年2021年が3年に一度の評価替えの年となっていました。つまり、土地については、2020年1月1日時点での公示地価を元に、昨年、2021年~2023年の固定資産税額は既に算定済みでした。

実際には、今年の公示地価は、昨年に比べ若干ですが下がった地域が多かったのですが、一つ前の評価替えの年(2018年)の評価額算定の基準となった2017年の公示地価と、直近の評価額算定の基準となった2020年の公示地価を比較すると、武蔵野エリアにおいては2020年の方が概ね上昇していました。

つまりは本来であれば、武蔵野の多くのエリアにおいて土地の固定資産税は、昨年の段階で既に上がっていたはずなのです。

ところがコロナ流行による影響軽減のため、昨年は「課税標準額の据え置き措置」が取られたため、固定資産税の値上がり分は据え置かれました。その分が今年になって計上されてきた、ということなのです。

また、据え置き措置と並行して、評価替えで評価額が上がった土地を所有している場合、納税額が一気に上がることを防ぐ「負担調整措置」が取られています。

この措置は(難しい説明にはなりますが)、本年度の評価額に対して前年度の課税標準額の割合(負担水準)が高かった土地は税負担を引き下げ、前年度の課税標準額の割合が低かった、つまり負担水準が低かった土地は段階的に税負担を引き上げていくというものです。(住宅地については、2022年以降は負担水準が100%以上だった場合には税負担が据え置きもしくは下がり、負担水準が100%未満だった場合には税負担が上昇することになります)。このことから、今後も多くの土地において固定資産税の値上がりが予想されます。

諸物価上昇のなかでの今回のこの値上げ、昨年のコロナ禍中とは別の意味で、一般家庭にとっては、気分的にも影響は大きいのではないでしょうか。

では家屋に関してはどうなのでしょうか。家屋の固定資産税額算出に関しては悩ましい問題があります。次回に続きます。


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