諸経費込みのローンの場合の住宅ローン控除額の試算

 

住宅ローン控除の対象は住宅取得価額部分のみで、諸経費部分(仲介手数料や印紙代、取得後にかかる不動産取得税、登録免許税、登記費用や、住宅ローンを組む際の銀行手数料など)は原則控除の対象になりません。

しかし一方、近年は上記の諸経費を含んだローンを提供する金融機関が増えています。

また、頭金無しの100%ローンを組むことも金利は高めですが可能です。

では、こういった諸経費込みのローンを組んだ場合の住宅ローン控除の扱いは、実際のところどうなるのでしょうか。

住宅ローンを借りると、毎年年度末にローンを利用している金融機関から年末のローン残高の証明書が送られてきます。しかし借りているローンが仮に諸経費込みのローンであっても、ローンの年末時点での残高の内、諸経費部分の残高がいくらになっているかの内訳は記載されていません。

諸経費込みのローンの場合のローン控除はどのように考えればよいのでしょうか。

例えば、「フラット35(全期間固定金利」」で、今年1月に、金利1.3%(2022年1月金利)、返済期間30年として、頭金なしで諸経費込みのローンを3000万円組んだと仮定した場合、各年度末のローン残高は下記の通りとなります。

3000万円の内、住宅取得価額部分を2700万円、諸経費部分を300万円と仮定した場合のそれぞれの各年度末のローン残高も併記します。

借入金額      1年目     2年目    3年目     4年目

3000万円     2914   2831   2746   2661 万円

(2700万円    2623   2548   2472   2395 万円)

( 300万円     291    283    274    266 万円)

上記において、原則は住宅の取得価額と年度末のローン残高の小さい方の額が控除の対象ですから、表面的には1年目の控除の対象は2700万円であり、対象とならないローン残高は2914-2700=214万円ですが、実際には1年目の年末の所得価額部分のローン残高は2623万円ですから諸経費分のローン残高291万円のうちの(2700-2623=77万円)分は、控除の対象となっている、ということになります。

同様に

2年目 2700-2548=152万円

3年目 2700-2472=228万円

4年目 2661-2395=266万円

が諸経費部分におけるローン控除対象残高ということになります。

当然に5年目以降は諸経費部分のローン残高分も丸々控除できることになり、結論としては、住宅ローン控除においては、諸経費込みのローンの方が、借入金額にもよりますが、控除額が大きい、ということになります。

仮に今回の税制改正で予定されている控除期間13年、控除率0.7%を適用すれば、上記の条件の場合の控除額の合計は当方の試算では、

諸経費込みローン3000万円の場合の控除総額214.7万円 -

取得費のみのローン2700万円の場合の控除総額195.7万円

結果、諸経費込みローンを借りた場合のほうが、控除額合計は19万円多い、いうことになります。

13年目に至っても年末のローン残高が限度額上限を超えているようなケースは、実際にはごく限られますので、(そのためには、借入当初の借入額が7000~8000万円必要です)、現実的な数字としては、上記のような範囲に収まるのではないかと推測されます。

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