皆様、あけましておめでとうございます。新年早々中東がきな臭く、株価も乱調の様相で、この先の国際情勢や景気が気になるところです。オリンピックも無事に始まり無事に終わってほしいものですね。

さてそんな中、住宅に関しては、今年はどんな動きが注目されるでしょうか。思うところを少し述べてみたいと思います。

1)今年はサブスクリプション元年?

昨年後半から、「サブスクリプション」という言葉をちらほら耳にするようになりました。「サブスクリプション」とは、本来は「一定の期間、或るサービスを利用できる権利に対して対価を支払う仕組み」のことを指すのですが、具体的には、毎月一定金額を支払えば好きな新車に自由に乗れたり、ステーキやお寿司を好きなだけ食べられたり、或いは好きな有名ブランドの服を自由に着られたりするサービスのことと理解されます。「定額制」と言っても、当たらずと言え遠からず、です。十把一からげで専門家には怒られそうですが、考えてみれば、毎月或いは毎年、利用しているサービスに対する対価を定期的に支払うという意味においては、長期契約の保険商品などはこの定額制の最たるものかもしれませんし、もともとスマホの料金設定などにおいても、「定額制」という考え方は身近のものでしたが、ネットによる音楽配信やゲーム配信、NETFLIXによる動画配信などの動きがここにきて一気に「サブスクリプション」ブームに気に火をつけている感があります。(保険商品に関しては最近では逆の動き、つまり必要な時にだけ必要な保険を掛ける、という動きも出てきているようですが)。しかもこの動きは消費の世界に留まらず、株や投資の世界においても、昨年10月から一気に進む販売手数料無料化の流れの中での収益確保の手段として注目されています。一方これらの一連の動きの背景を考えると、社会全般で、モノそのものが売れなくなってきたという、消費トレンドの大きな変化がそこにはあるのでしょう。近年日本の社会に広がってきた所有価値よりも使用価値という価値観の変質も影響しているかもしれません。要するに、単にモノを売るだけでは収益を確保することが難しくなってきたことが、ここにきて多くの企業や業界をして、「サブスクリプション」のような、サービスの継続的な使用や利用に対して対価を取る収益形態に活路を見出そうとしている、ということなのだと思います。

では、この「サブスクリプション」、住宅業界に今後波及することはあるのでしょうか。筆者は十分にあり得ると思っています。近い将来、おそらくリフォームの業界あたりから、定額制による住宅のメンテナンスサービス、等というものが登場してくるのではないかという気がします。日本の住宅はここ十数年の間に、大災害による様々な被災の経験を経て、その耐震性や耐久性のレベルは飛躍的に向上してきました。またそれに合わせて、関連する法律や基準・規則も改められてきました。しかし例えば一つの例として高性能住宅の代名詞である「認定長期優良住宅」というものが有りますが、この制度においてあまり注意喚起されていないことは、認定を維持するためには定期的なメンテナンスが義務付けられている、ということです。高性能な住宅であればあるほど、その性能を維持するためのメンテナンスも不可欠なのです。しかもこれらのメンテナンス費用は当然に有料であり、長期優良住宅とて例外ではありません。つまりは住宅を長持ちさせるためには例外なく定期的なメンテナンスが欠かせず、そのための費用も定期的にかかってくる、ということなのです。本来これらのメンテナンス費用は、マンションにおける修繕積立金のように、定期的に少しずつ積み立てておくのが望ましいのですが、戸建ての個人住宅の場合は、なかなかそこまで手が回らないのが現状です。だからこそ、「定額払い」と「積み立て」とは確かに違いますが、両方の良いとこ取りをしたような仕組みやサービスが生まれる余地はあります。そして、人口減・世帯減に伴う空き家の増加の問題が顕在化する中で新築住宅の着工件数が今後長期的に減少し、既存住宅の維持管理が相対的に重要なテーマとなればなるほど、関連業界において、この維持管理の部分からなんとか収益機会を得ようとする動きが出てくるのも自然な成り行きだろうと思われます。勿論その際に提示される料金が、利用・使用したサービスの量に見合ったものになっているかどうかは別問題です。消費者としては、これはどこにおいても共通の判断基準だと思われますが、定額制のサービスにおいては、まずは支払う対価の総額に対して、利用した、或いは利用できるサービスの全体が対価に十分に見合うものなのかどうかの検証が必要です。なぜなら、定額制における料金の設定においては常識的に考えて、支払った価格に見合うサービスの量より、より少ないサービスの量しか利用しない、より多くの利用者を想定しているからです。(例えばFPとして住宅資金相談に応じるときに合わせて行うことの多い生活費の見直しの中で、まず注目するのが実はこの定額支払いの部分であり、現状では、この定額制による支出の部分に無駄が多いことはその典型例です)。

住宅業界において、「サブスクリプション」という形態が、例えば会員制サービスの形態をとるのか、サービスのパッケージ化なのか、或いはすでに一部で始まっているような、全国の空き家を民泊にして、定額で一定泊数まで自由に泊まれる、などといった、全く新しいニューサービスの形態をとるのか、今後どのような形で展開されていくかはまだわかりませんが、嘗て「住友そっくりさん」が請負金額の定額制を打ち出した時のように(勿論、同じ定額制でも、今回のそれとはニュアンスが異なりますが)今までと異なる新しいサービスの展開がみられる可能性は十分にあるのではないかと思われます。

2)住宅格差の広がり
この項は次回に。


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