景気対策の一環として住宅需要の喚起策がしばしば取り上げられることは、皆さんもご存知のことと思います。また最近ではコロナ感染拡大による景気の落ち込みの影響を緩和するため、例えば「住宅ローン減税の期間延長」などの時限的な優遇措置も取られています。

ところで、これらの最近の住宅需要喚起施策の中に、「グリーン住宅ポイント制度」という、優遇施策があります。

この制度は、令和2年12月に閣議決定された「令和2年度第3次補正予算」の中に組み込まれたもので、コロナ禍による住宅需要低迷を受けた消費喚起策であるとともに、デジタル化とならぶ柱である脱炭素化に向けた住宅性能向上施策であると位置付けられています。その内容は、一定の要件を満たした住宅の取得やリフォーム工事等に商品や追加工事と交換できるポイントを付与するもので、1094億円の予算が振り向けられました。

適用条件は、令和2年12月15日から令和3年10月31日までに工事請負や売買の契約を締結した住宅であること。また、持ち家・賃貸住宅、新築・既存住宅、といった住宅の区分ごとに省エネ性能や特定の移住要件、世帯要件などがあり、要件の水準や組み合わせによりさらにポイントが加算されます。

この優遇策ですが、スタートから本年7月半ばまでで丁度半年経過した時点でも、予算の消化が進んでいません。1094億円の予算に対し、7月半ばまでの実績は1割にも満たないようです。さてその原因はどこにあるのでしょうか。昨年3月のコロナ感染拡大以降、新規の住宅着工はリフォームも含め確かに一時期落ち込みましたが、その後の住宅業界は、テレワークの進展などもあり、分譲住宅を中心に思わぬ活況を呈しています。国交省の統計を見ても、全国の新築住宅着工件数は、本年1月から6月までの6か月間で持ち家が約13万4千棟、賃貸住宅が15万3千棟の合計約28万7千棟となっています。新築住宅の過半が「グリーン住宅ポイント制度」の適用を受けていれば、もう既に予算が消化されてしまっていてもおかしくないはずです。

ではこの制度の利用実績が延びていない原因はどこにあるのでしょうか。

戸建て新築の場合の住宅性能面の適用条件を確認してみましょう。

(1)高い省エネ性能等を有する住宅(認定長期優良住宅、ZEH,認定低炭素住宅、等)

⇒ 基本40万ポイント付与

(2)一定の省エネ性能を有する住宅(断熱等性能等級4 且つ 一次エネルギー消費量等級4以上の住宅)

⇒ 基本30万ポイント付与

*省エネ性能の個々の内容はここでは割愛します。

確かに上の(1)の基準を満たす住宅はまだ現状では限られますが、(2)の基準であれば、この条件をクリアすることは決して難しくはないはずです。今年に入ってからの戸建て新築住宅の受注の活況は、いわゆるパワービルダーと呼ばれる大手建売業者が中心ではありますが、建売住宅といっても近年は、大手であれば(2)の条件は、大方はクリアできているはずです。だとすれば、利用低迷の考えられる原因は以下のような理由が推測されます。

(A)大手以外の建売業者の新築物件が(2)の条件、特に断熱等性能等級4をクリアできていない。

(国交省の平成29年度調査によれば、300㎡未満の小規模住宅の約4割の住宅は断熱等性能等級4未満となっています。この数字は注文住宅も含まれますので、建売住宅だけをみれば半数以上が等級4未満であると推測されます。)

(B)大手を含めて、申請は可能であっても、申請自体をしていない。

施主がそもそもこの制度を知らない。

業者がこの制度の存在自体を施主に知らしめていない。

内実はわかりませんが、利用実績伸び悩みの原因が(A)の理由によるのであれば、やむを得ないかもしれませんが、(B)の理由によるものであったとしたら、大きな問題ではないかと思います。


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