今年の春先から、アメリカでは、コロナの感染拡大に起因する働き方や働く場所の変容が急激な住宅ブームを巻き起こしました。そのために住宅資材の供給がひっ迫し、そのあおりを受けて、コンテナ船や貨物船の運航の停滞もあり、日本への住宅用木材の輸入量が激減しました。欧州産も米国への供給を優先したため、品不足は解消せず、住宅着工が一時ストップしたり、構造材の価格が2割以上ハネ上がる大混乱となりました。いわゆるウッドショックです。
コロナがもたらした生活変容の住宅への影響は、日本においても、実は昨年秋以降、時ならぬ住宅ブーム(特に郊外の建売住宅ブーム)を引きおこしており、この需要の急増が、日本での木材価格の上昇に更に拍車をかけたと云えます。
我が国は豊かな森林資源に恵まれながらも、様々な要因から、国産材は需要の3割に留まっており、しかも木材は、資源があるからと云ってその供給を一時的に急増させることが不可能です。案の定、ウッドショックによって国産材の需要もひっ迫し、価格も高止まりしてしまいました。
原状、アメリカではようやく感染拡大も下火となり、木材価格は値下がりして、ほぼ正常な価格に戻りつつあります。しかし日本では、秋の繁盛記に入り、需要が旺盛で、価格の高止まりと供給不足は未だに続いています。
日本では、実は木材だけでなくトイレ等,他の住宅設備機器においても、大手メーカーのアジア生産分がコロナによる現地のロックダウンなどの影響でストップし、品不足をきたしています。
住宅市場が正常な状態に戻るのは、この分ではもう少し先になると見たほうがよいでしょう。
ただ、近年、マンションの価格が上昇し続けており(新築中古共に)、そのことが一因となって、ここ数年は需要が殊更に戸建住宅に向かっているわけなのですが、来年以降は大規模マンションの竣工ラッシュが始まりますので、マンション価格の高騰も徐々に沈静化してくるはずです。それに伴い、戸建て住宅に対する過剰な需要も落ち着いてくるのではないかと予想されます。
今のような状況下では、家づくりにおいては、慌てて事を急いてしまっても、なんのプラスにもなりません。まずは焦らず、落ち着いて先々の計画を立てるべきです。そして今の混乱が正常に戻るまでは、いわゆる便乗値上げや、粗悪品の使用といった面にも充分注意を向けておく必要がありそうです。